
XBee3でA/D変換を行う際には、参照電圧として3種類の選択肢があります。それは、1.25V、2.5V、および電源電圧(VDD)です。たとえば、Microchip社製のアナログ温度センサMCP9701のように、出力電圧が2.5Vを超える高温領域の測定や、他のセンサからの2.5Vを超える電圧をA/D変換する場合には、参照電圧としてVDDを使用する必要があります。今回は、A/D変換時にVDDを参照電圧として選択する際の注意点について解説します。
例えばDigi社のインターフェースボード「XBIB-U-DEV」の電源電圧は、データシート上では3.3Vと記載されています。さらに、Digi社のサポートツール「Digi AI Support Assistant」では、「XBIB-U-DEVはXBeeモジュールに安定化された3Vの電源を供給しており、これはTTL(0〜3V)レベルのシリアルインターフェースを必要とするXBeeモジュールの正常動作に不可欠である」と説明されています。
実際に手元にある3台のインターフェースボードの電源電圧を測定したところ、それぞれ3.287V、3.290V、3.298Vと、ボードごとに若干のバラツキがあることが確認できました。 今回は、XBeeの設定は前回の解説と同様にしつつ、1点のみ変更して、MCP9701のVdd端子をXBeeの1番ピン(電源電圧)に接続した場合と、18番ピン(Digital Out, High)に接続した場合で、A/D変換結果の比較を行ってみます。
リモートXBeeのAV:Analog Voltage ReferenceをVDD Reference[2]に設定します。

以下にMCP9701の1番ピン(Vdd)をXBeeの1番ピン(電源電圧)に接続した場合の結果を示します。

以下にMCP9701の1番ピン(Vdd)をXBeeのDIO2の18番ピン(Digital Out, High)に接続した場合の結果を示します。

・MCP9701の1番ピン(Vdd)をXBeeの1番ピン(電源電圧)に接続した場合:
(278×3.287)/1023=0.8932[V]
T=(Vout-V0c)/Tc1=(893.2-400)/19.5=25.29[℃]
・MCP9701の1番ピン(Vdd)をXBeeのDIO2の18番ピン(Digital Out, High)に接続した場合:
(279×3.287)/1023=0.8965[V]
T=(Vout-V0c)/Tc1=(896,5-400)/19.5=25.46[℃]
いずれの給電方法でもほぼ同じ結果を得ることができました。