XBeeモジュールの使い方(3種類のファームウェア)


 XBeeにはZigBee、802.15.4、DigiMeshの3つのファームウェアがあります。それぞれの特徴やメリットやデメリット等を解説します。

【XBee 802.15.4】

(特徴)

・IEEE 802.15.4 プロトコルを使用します。IEEE 802.15.4プロトコルは、ワイヤレスセンサーネットワークやIoTデバイス向けに設計された、低消費電力で双方向通信を可能にする無線規格です。国際標準規格として、世界中で多くのベンダーから製品が供給されており、安定性があります。2.4GHzのISMバンドを使用します。

・ポイントツーポイントまたはスター型のトポロジをサポートします。

・ADC(アナログ-デジタル変換)入力、デジタルおよびアナログ I/O ラインパスを提供します。

・RF レイテンシが短く、スループットが高く、実用的な最大スループットは約 80kbps です。

 レイテンシとは、データ転送や処理における遅延時間を指し、具体的には、要求(例えば、Webサイトを開く要求)が送信されてから応答(Webサイトが表示される)が返ってくるまでの時間を指します。レイテンシは通常、ミリ秒(ms)単位で表され、低いほど通信や処理が高速であることを意味します。

 スループットとは、一定時間内に処理できるデータ量を表す用語で、1秒あたりに送受信できるデータ量(bps、Mbps等)を指し、システム性能の評価に用いられます。

(メリット)

・セットアップと設定が簡単です。

・高スループットと低レイテンシです。

・ハードウェアを変更することなく、メッシュネットワーク用の DigiMesh にアップグレードできます。

(デメリット)

・よりシンプルなネットワークトポロジ(ポイントツーポイントまたはスター型)に限定されます。

(適する用途)

・直接通信が必要なセンサーネットワークなど、高データレートと低レイテンシが求められるアプリケーションに適しています。

【XBee ZigBee】

(特徴)

・ZigBee メッシュプロトコルを実装しています。

・複数のノードタイプ(コーディネータ、ルータ、エンドデバイス)をサポートします。

特にエンドデバイスとして構成する場合、低消費電力シナリオ向けに設計されています。

(メリット)

・サードパーティ製ZigBeeデバイスとの相互運用性。

・Digiゲートウェイ製品およびデバイスクラウドとの緊密な統合。

・低消費電力で、バッテリー駆動デバイスに最適です。

(デメリット)

・より複雑なネットワークインフラストラクチャと設定が必要です。

(適する用途)

・相互運用性と低消費電力が重要なホームオートメーション、スマート照明、その他のIoTアプリケーションに最適です。

【XBee DigiMesh】

(特徴)

・Digi独自のメッシュプロトコルを使用。

・単一の同種ノードタイプで、ネットワークセットアップを簡素化。

・すべてのノードはバッテリー駆動でスリープ状態も可能なため、消費電力を削減できます。

(メリット)

・コーディネータが不要なため、単一障害点がありません。

・ネットワーク拡張の柔軟性と、変動の激しい環境における信頼性を実現します。

・長距離通信をサポートします(一部モデルでは1ホップあたり最大40マイル以上)。

(デメリット)

・ZigBeeと比較して、Digi以外のデバイスとの相互運用性が低くなります。

(適する用途)

 産業用アプリケーション、リモート監視、ネットワークの信頼性と通信範囲が重要となる環境に適しています。